2016年6月17日金曜日

楢尾→益田山(1320m越)→七ツ峰(1533m)縦走

★概要

  • 日程:2016年6月17日
  • 天候:晴れ,七ツ峰山頂気温(21.8度)
  • コースタイム
    自宅発3:00→湯島大橋着5:30→調整・検討10分→楢尾(偽)登山口着7:10→休憩10分→楢尾(偽)登山口発7:20→天狗石岳・楢尾・七ツ峰 分岐点着9:20→益田山着9:50→七ツ峰着11:20→休憩1.5時間→七ツ峰発13:00→楢尾(正規)登山口着15:00→湯島大橋着 16:15→湯島大橋発16:30→自宅着18:15
  • 総行動時間:13.5時間(自転車:2.5+2時間,山行:6+3時間)
  • 休憩時間:2時間
  • ルート:松浦理博「安倍山系 中」,七ツ峰ルート⑨

★写真(297枚)

★動画(10本)

★ 感想

今回選んだルート⑨は,国土地理院の地図上では,いわゆる破線ルートだった.それは道なき道である可能性を意味しているため,それなりの覚悟が必要となるのは言うまでもない.途中撤退もありえる.

そのような覚悟で臨んだ今回の山行だが,実際に現地を歩いてみて驚いた.事実上,それは破線路などではなく,極めて整備された「登山道」だったのだ…

…今回の山行は2週間ぶりとなるため,破線路云々よりも体力面が心配だった.特に天気予報では,最高気温は33度ほどになるという.しかも前日は雨で山道は滑りやすい状態と考えられる上に,湿度は相当高くなるだろう.つまり水の問題が発生する.

「安倍山系」によれば,このルートには水場がない.そこで一応,真夏体制に近い4リッターを持参した.結果的には約0.5リッター不足し,帰路において公園で水を補給することになった.

自転車行は久々に藁科川沿いを遡上する.一度夕暮山に登った時,走ったことのある南アルプス公園線だ.その時もしんどく感じたのだが,今回も同様だ.たぶんアップダウンが多いためだろう.

自転車行の途中,初めて湯ノ島温泉の前を通過した.湯ノ島の温泉施設は静岡市営で,おそらく安く入浴することができる.うまくやれば下山後に入浴するという贅沢も可能なのだろうが,自分にはそんな経済的余裕も時間的ゆとりもない.今後もそれは変わらないだろう.


自転車が湯島大橋の前まで来た時,自分はそれを渡ってしまった.ルートと自転車駐車予定の場所は,事前にGoogleストリートビューで確認していたのだが,頭に入っていなかったようだ.橋を渡ったところで,ルートを確認しようとして,タブレットを出したのだが,高湿度のためなのか,タップがうまくいかず,まともに地図を動かせない.おまけに事前キャッシュしておいたはずの地図データがすっ飛んでいた.やむを得ず,スマホでテザリングを行い,地形図をダウンロードした.

結局,橋の手前まで戻り,路肩に自転車を止めて林道歩きを開始した.あいかわらず林道の硬い道はトレッキングシューズには厳しい.足の裏が痛くなる.インナーソールを変えるなど,何らかの対策が必要なのかもしれない.

林道を歩いて行くと展望の開けた場所に出た.茶畑のある楢尾の集落あたりだ.そこで展望の動画を撮影していると,背中から声がかかった.「ずいぶんと早いねぇ」

民家の庭先で朝の支度をしているおばちゃんだった.「おはようございます」と挨拶した声は動画に記録されている.確かに早かったかもしれない.楢尾登山口から七ツ峰までのCTは2時間半となっている.この時点では朝の6時半ごろだから,確かに登山者としてはかなりの早出ということになるのだろう.

林道を更に行くと集落が終わり,山の中に入っていった.驚いたことに山の一部が平坦化され,ソーラー発電所になっていた.集落の電気を発電しているのだろうか?驚いたのは,それだけではない.

やがて登山口の目印となる最初の分岐点が近づいてきたのだが,その時自分は目を疑った.分岐点に立っているのは明らかに,登山者のための指導標識だったのだ.しかもそれは私製の手作り標識ではない.東海自然歩道でよく見かけるタイプ,金をかけて作られたしっかりとした活字の標識,それがその分岐点に,妙な違和感を放ちながら立っていたのだ.破線ルートはガセネタだったのか?


「これはもしかしたら楽勝ではないのか?」登山口までの距離まで示されているその標識を写真に撮りながら自分はそう思った.しかしその後自分はミスを犯した.正規登山口前に尾根に取り付けそうな作業道があり,それを登山口と勘違いしたのだ.破線ルートであれば,そのような標識のない登山口は当たり前なのだが,今考えて見ればあれだけしっかりとした標識が林道分岐点にありながら,登山口に標識がないのはおかしな話だ.

それに気づかず一服して体制を整えたあと,その作業道から登り始めたのだが,すぐに道は行き止まりになった.やむを得ず引き返し,途中の安全そうな斜面を登り尾根に取り付いてみる.案の定,立派な登山道がそこにはあった.

そこからは杉林の尾根道を延々と歩いて行く.標識は次々現れた.私製,静岡県山岳遭難防止対策協議会,奥藁科大川,静岡市教育委員会,南アルプス奥大井自然公園運営協議会と至れり尽くせりだ.標識だけでなく,テープやマーキングのペンキも頻出する.ちょっと異常な感じすらした.もしかしたらかつて遭難騒ぎがあったのだろうか?

道もほぼ一本道で迷いようもなさそうだった.そのため気持ちにゆとりが生まれたのだが,残念ながらほぼ杉林であるため,花も木も楽しむことが出来ない.山行前半はちょっとダレた感じになってしまった.

ただ,杉林を漂っていた,前日の雨によって発生したガスが,時折強く斜めに射しこむ朝日によって美しく輝く光景は素晴らしかった.何枚か写真を撮り,動画を撮影したが,朝日はすぐに隠れてしまうため,なかなか良い写真は撮ることが出来なかったが…



やがて伐採地に出た.この時点ではガスのため展望はなかったのだが,下山時は遠くの山々まで展望が開けていた.自分はしていないが,ここで小休止するのも悪くないように思う.虫も少なかったように記憶する.

伐採地から再び林の中に戻ってしばらく歩くと,やや注意すべき場所に出た.今回の道はよく整備されているのだが,3ヶ所注意すべき場所がある.ここはその一つ目の,細くザレた山道だ.杉の木材で道を支えているのだが,斜面からの土砂が道をおおっている部分がある.ここはさすがに慎重に通過した.

そこを抜けてしばらく歩くと,主稜線に達した.もちろん親切な標識もそこには立っている.標識どおりに広葉樹と針葉樹の混じった林の中を尾根伝いに歩いていく.天気も良いので,比較的尾根は明るいが,針葉樹が混じっているためか,身延山地の尾根筋のような明るさはない.それでも杉林よりずっと快適だ.

分岐点から益田山(1320m)山頂にはすぐについたが,展望はない.山頂は平坦で比較的広いので,大人数の休憩には向いているのかもしれない.山頂撮影のあと,すぐに七ツ峰に向かう.


相変わらず道筋ははっきりしているので迷うことはない.標識やテープ類もたくさん出てくる.一部,低い灌木に道が覆われていたが,その距離も短く歩行に支障が出るほどではなかった.

ところがしばらく歩くと奇妙な人工物に出くわした.山道に埋め込まれた鉄製ワイヤーだ.足を引っ掛けんばかりに半ループ状に地面から突出している.なぜこんなところにワイヤーが埋め込まれているのか不明だが,登山者が足を引っ掛ける可能性は十分にある.もちろん篤志家が赤いリボンを付けて山行者の注意を促しているのだが,話をしながら歩いていたりするとあぶない.ワイヤーは3ヶ所ぐらい合ったと思う.これが2つ目の注意ヶ所.

そこからしばらく歩いて行くと,ついに3つ目の注意する場所,すなわち直急登が始まった.これが自分にはなかなか手ごわかった.山頂手前であるため疲れの蓄積や暑さもあったのだろうが,この急登に随分と時間をとられてしまった.さらには下山時に,この急登で2回ほど滑ってしまった.雨上がりの下りでは特に要注意だ.

ありがたいことに,この急登の途中には少し展望のきく場所がある.息を切らしながら,休憩がてら眺望を撮影をした.


この急登が終わるとすぐに七ツ峰(1533m)山頂着となる.山頂に展望は思ったほどはなかった.木々の枝が伸びて隠してしまったせいかもしれない.天気が良ければ見えるとされていた富士山や駿河湾は,雲で見ることができなかった.ただ長島ダムによって作られた「接岨湖」は見ることが出来たようだ.「ようだ」と言ったのはその時は,湖を見た認識がなく,帰宅後写真や動画に映っていたのに気づいたため.

山頂は比較的風があり,案の定,ハエを中心として虫が多かった.大きなアリも大活躍して,ザックに次々よじ登ってくる.森林香とディートで防虫対策をすると,ある程度虫達も遠慮してくれた.さらに帽子の上から防虫ネットを被ると,そこそこ快適になる.

気温は21.8度とほぼ予想通りの暑さだったが,木陰があり,また風も吹いてくれたため,ジトッとした暑さでは無かった.自分は静かなムードが好きなのだが,虫の襲来とセミらしきものが鳴き声がちょっと大きくてうるさく感じられた.

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