2016年5月13日金曜日

孫佐島→深沢山(1474m)

★概要

  • 日程:2016年5月13日
  • 天候:晴れ,深沢山山頂気温(22.5℃)
  • コースタイム
    自宅発3:20→六郎木駐車場着6:10→六郎木駐車場発6:20→孫佐島登山口着7:10→一服峠着9:10→深沢山着10:40→休憩1.5時間→深沢山発12:20→孫佐島登山口着14:10→六郎木駐車場着15:00→自宅着17:30
  • 総行動時間:13時間(自転車:3+2.5時間,山行:4.5+2.5時間)
  • 休憩時間:2時間
  • ルート:松浦理博「安倍山系 中」,笹山ルート④

★写真(270枚)

★動画(8本)

★ 感想

前回の山行は,目標である深沢山に到達できず,途中の一服峠で終了となった.その原因は,天神山への予定ルートが消滅していたためであった.
今回は深沢山のみを目標として計画したため,計画時間内の山頂到達は予想外の出来事が起こらないかぎり可能なはずだった.ただし前回と同じルートでは面白みがないため,孫佐島からの破線ルートを計画に採用した.

もちろん破線路といっても千差万別で,既に廃道となっていたり,ほぼそれに近い状態の激しく荒れた道もある.したがって道の状態によっては,斜面を登ったり,深いヤブを漕ぐ必要があるかもしれなかった.しかも今回のルートでは,最初に前回の大代ルートよりも急な勾配を上る必要があるのは,「安倍山系」や地形図からわかっていた.

仮に今回のルートが急勾配の廃道に近い道となれば,かなりの激闘が登山の序盤戦に予想され,そこで体力と時間が相当に消耗される恐れがある.

しかしながら「安倍山系」では,この孫佐島ルートは静岡市認定の「みどりの道」とされていた.通常の「みどりの道」ならば,静岡市(実際は市岳連などの人々)によって整備はされているはずなので,安心したいところだが,不気味なことに,Googleストリートビューで孫佐島登山口周辺を見たところ,標識類は全く無いことがわかった.

はたして本当にこのルートは本当に整備された道なのか?それとも「みどりの道」というのは「安倍山系」の誤りか?あるいは以前は認定路であっても,現在は認定から外された廃道に近い道ではないのか?

やや心配な部分があったが,全ては現地判断ということで,今回の山行をスタートさせることにした.上記のことを考慮して,計画上の総行動時間は前回よりも長めに,また山頂到着も早めに設定した.状況によっては途中撤退も覚悟はしていた.

諸事情によってスタートは,前回より若干遅れたが,六郎木到着時はほぼオンタイムとなった.六郎木からは,徒歩で孫佐島登山口まで車道を移動する.すでに大光山山行の時に歩いたことのある車道で,強い既視感を持って歩いて行った.

今回のお楽しみの一つは,孫佐島の吊橋だった.山行のために吊橋を渡るのは,今回がはじめてとなる.

車道を約1時間ほど歩き,吊橋の前についた.ちょっと驚いたのは,その手すりとなるワイヤー位置の低さだ.ワイヤーがだいたい腰ぐらいの高さとなっており,上半身の横にはネットやワイヤーはなく,単なる空間となっている.ちょっと体を横に乗り出せば,真っ逆さまに落ちてしまいそうな気がする.下までは20m位あるだろうか?

吊橋を歩き始めると,すぐに橋全体が上下うねり,同時に左右にも揺れてしまうことがわかった.まるでめまいを起こしたような錯覚にとらわれ,思わずワイヤを片手で握り,それを滑らせながら歩くことになった.地元の方は余裕なのだろうか?


こうして吊橋をクリアし,対岸の車道を歩き始めると,例の登山口へ接続する道にすぐついた.事前調査の通り,周囲に標識類は一切存在しない.「安倍山系」に書かれていた,電柱の番号が標識の代わりだ.車道から離れて左折し,電信柱脇の道へと入って行った.

ところがすぐに見つかるべき登山口らしきものを最初見つけることができなかった.道を直進すれば民家に突入してしまうようだった.そこで道脇の林の中をよく見ると,石積の横に薄い踏み跡らしきものが見えてきた.

とりあえずその踏み跡らしきもの歩いて,木々の間に入ってみると,ありがたいことに,その踏み跡が尾根に向かって上に伸びていた.間違いない,山道だ.

こうしてようやく今回の山歩きがスタートした.全くありがたいことなのだが,道は荒れていなかった.意外としっかり踏まれている感じがする.整備もされているようだが,標識はなぜかすぐには出てこなかった.

最初に出会った標識は,梅ヶ島でよく見かける鉄製?の古い標識だった.例によって標識に文字はなく,矢印もほぼ消えかけている.それでもとりあえず標識も出てきたことに安堵した.作業道でもなく,獣道でもないのだから.

しばらく杉林の中を行くと古い標識ではなく,お馴染みの黄色いプラスチック標識が出てきた.比較的新しいようで「静岡県山岳遭難防止対策協議会」の文字がはっきり読み取れる.

ということは,このルートは荒れていないだけでなく,新しい標識もそこそこ存在し,また危険箇所にはロープ等の対策が施されている可能性が高いと思われた.今回はかなりの戦いを覚悟していたが,どうやらその心配は杞憂に終わりそうだった.

実際,その後,悪場には遭遇せず,ガレた場所にはトラロープ,間違いそうな分岐点には標識があり,登山時には迷うことはなかった.ただし予想通り,長い急坂は存在した.しかし直登はあまりなく,多くはツヅラであったため助かった.

一服峠までの山行はずっと杉林の中かと思っていたのだが,実際は途中から谷側斜面がスギ以外の広葉樹主体の林になってくれた.快晴だったので,新緑が美しく,緑の宝石のように輝いて見える.しかも広葉樹林だけでなく,ところによっては松林もあり,変化があって面白い.その他にも斜面いっぱいの苔生す石群や,付近の山々を臨めるガレ場などもある.


やがて前回の山行で途中撤退を決めた一服峠についた.快晴のためブナ林が前回よりもずっと美しく見える.ここまで約2時間かかった.ということは前回の井川峠登山口から一服峠までにかかった時間とほぼ同じということになる.孫佐島からのルートには水場はないが,このルートも井川峠への主要なルートと考えて良いのかもしれない.

一服もせず一服峠を超えてさらに上っていくと,ついに道左側の杉林が終わりを告げ,広葉樹主体の尾根となってくれた.様々な個性的なポーズを取った木々やその木肌,どっしりと構え,その枝を天空に向かっておもいっきり伸ばしたブナの巨木たち,所々に咲いている紫と白のツツジの色彩のアクセント.自分はそれらの間をある種の高揚感とともに歩いて行った.

「ついに帰ってきたんだ」

その時自分は,はっきりそう思った.お気に入りだったあの見延山地の尾根を歩いていた時の感覚が蘇ってきたのだ.ここにはいのちの自由がある.生があり,死があり,再生がある.厳しさがあり,優しさがあり,笑みがあり,荘厳がある.自分はこの尾根歩きを満喫していた.

ついに深沢山についた時,自分はその山頂の狭さに驚いた.これは今まで行った山の中でも,最小クラスの狭さだった.しかも平坦ではなく傾斜しているため,休憩場所の確保が難しい.

山頂に到着したのは,午前10:30頃だったかと思う.快晴で既に気温は高く,温度は22度もあった.笹の多い場所なので,当然のことながら,ハエ・ハチ・アブもたくさんいた.彼らは塩分がほしいのだろうか,自分が木の枝にかけて干していたタオルに次々集まってきて,美味しそうにその中の汗を吸っていた.

ハエの中には,涙を狙って何度も自分の目の中に飛び込んでくる奴もいる.飛び込んでしまうと思わずまぶたを閉じてしまい,ハエが挟まってしまうのだが,なかなか逃げようとしない.いつもながら厄介な連中だ.もう防虫対策が必要な季節となったようだ.

今回は一応ディートスプレーを持参していたので,早速身体に噴きかけてみたのだが,案の定,その効果は芳しくない.むしろ人間のほうが,その匂いに気持ち悪くなってしまい,なんだか頭痛もしてくる.次回からは防虫ネットと森林香を持参する決意を固めた.

深沢山には展望があると「安倍山系」には書かれていたが,実際は残念ながら斜面の木々の成長により,山名板のある場所からはほとんど展望はない.虫や日差し(木陰がない)と闘いながら,食事を取り,約1.5時間休憩する.その間,複数のハエによる執拗な攻撃を受け,また目の前でホバリングする彼らの羽音がうるさく,心身をゆっくり休めることは出来なかった.休憩後そそくさとその場を後にして,下山を開始した.


六郎木駐車場に戻ったのは15:00頃.当初の計画より2時間ほども早かった.しかし,そこからの自転車行は,歌も歌いたくなくなるほどの厳しいものとなった.

久々の1400m級だったためなのか?
しかし前回よりも山行時間は短いはずだし,前回も1200mは登っている.

最初の急坂がカラダに効いてしまっているのか?
それはありえるかもしれないが,込岳のような直登は少なかったし,アップダウンも殆ど無かったはずだ.

水分やカロリーが足りていないのか?
一応,水は市街地に戻ってくるまで保っていた.飲み方が足りなかったのか?
カロリー摂取は少なめだったと思うが,前日に相当カーボロードしているはずだし,ちょっと無理して行動食を食べていた.

…結局のところ原因はよくわからなかったが,次回はのどが渇いていなくても,腹が減っていなくても,水分と行動食を定期的に摂取してみようと思う.

携行する水量については,今回の山行では全く余らなかったため,次回からは水量を0.5リットル追加し,4リットルとする予定.

帰宅後体重をはかってみたところ,前回とほぼ同様で3キロほど減っていた.これがカラダにはしんどいのかもしれない.

これからは夏山装備で出陣する予定.

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